流行語から占う今年の中国

一昨日も書いた南方週末記事の改ざん問題で、政府とメディアの対立が激化している。昨日は微博で「南」という一文字の検索さえフリーズし、関係者のアカウントや書き込みも削除された。今日は同社のビル前に人が集まるなどの動きに発展している。

中国の友人曰く、これまでに政府が理不尽にメディアの原稿を改ざんすることは山ほどあったが、広東省の南方集団が強かったから表面化したのだ、という。北京の新京報でも数年前に同様の政府の改ざんに対し記者がストライキをしたことがあったという。

さて、そんなに政府が改ざんまでしたいとあせった元々の記事とは何だったか?その題は「中国の夢、憲政の夢」である。この「夢」というのは、中国の2012年の今年の漢字。

今年の漢字を選定した政府の主催者はこの「夢」が選ばれた背景として「オリンピックドリーム」や、「宇宙飛行ドリーム」、「ノーベル賞ドリーム」などの国力向上との関連性を指摘している。

また、「夢」は国内の漢字部門で選ばれたが、国内の言葉部門では尖閣島の中国名の「釣魚島」、国際漢字部門は「衡」、国際言葉部門では「選挙」が選ばれている。

主催者は中国ネチズンのレベルが上がっていると言っていたが、確かに中国の国力と国際的な地位の向上とともに、当然のことながら、人々の関心は「選挙」の実施や公正な「制度」の実施などに移ってくる。

このあたりの雰囲気を上手に汲んでドラマチックに文革などの過去の苦しみから世界の大国に成長した今の我々が求めるのは、憲法の実施だ、と訴えたのが南方週末の新年の言葉だったわけだ。

憲法の実施というのは、実にうまい手である。人権とか言うと嫌がられるが、共産党が作った憲法をきちんと実施しようじゃないか、と言うのに文句の言いようはない。

こんな圧力がどんどんたまる中、今日、公安部長は50年以上続いた労働教育制度を廃止することを宣言した。これも、法治国家への大事な一歩、進歩である。

いろんなことがドラマチックに展開する中国、南方週末のストライキも予断を許さない。1ミリでも良い方向に行ってもらいたいものだ。

これ、本日の中国なり。