百度で調べて行った病院が藪医者で「治療」後死亡した大学生が喚起したこと

この数日中国のマスコミを騒がしているのは、陝西省の大学生、魏則西君の痛ましい死とそれにまつわる百度検索広告、公立病院内の福建省甫田系の藪医者の問題だ。

コンピューター学を専攻していた魏君は成績優秀な大学生だったが、突然隆起してきた腫瘍が滑膜肉腫という珍しい悪性の癌で、すでに進行していると知らされる。地元で治療を受けるが効果はなく、数カ月の命と宣告される。すがる思いで百度で検索したところ検索順位上位に武警北京第2病院が検索上ヒット。CCTVで紹介された、米国スタンフォード(大学)と協力して、最新の生物治療をしており、回復率抜群とあったという。

実際、北京の同病院まで行ってみると、「ここで治療すれば20年は大丈夫」と言われ20万元を費やし、治療したものも、癌はあっという間に拡散し、4月12日に魏君は亡くなった。魏君は海外のネットで知り合った人から生物療法は以前の治療法で効果はなく現在は行われていないこと。最新の生物療法はまだ研究段階であることなどを知り、この病院に騙されたことに気づく。そして、自分と同じ犠牲者がこれ以上でないよう告発する文章を亡くなる2週間前の4月に入り、ネット知乎上に綴ったため、今回初めて明るみに出た。

更に、この公立病院(特に警察や武警系)の一部は多くが軒先を別の企業に貸し出している事実が明るみに。しかも、こうした「大病院内だけど実態は私立の藪医者」を経営している8割の私営クリニックは福建省の甫【甫に草冠】田という地域出身者が独占していることも判明。これは大問題だ。

もう一つは百度が検索に多額の広告費を得て、こういう藪医者の広告を検索トップ部分で出していたという問題。広告費の2割が医療関係という。因みにこの事件で百度の株価は暴落している。

今朝の新京報では「中央軍委など、武警北京2院を調査」「北京市政府は公立病院内の科を外部に請負させることを禁止」とあるが、あくまでと1病院をチェックし、北京市では禁止となっただけだ。

どう考えても病院への管理不行き届きだから、国の保健衛生部門が責任を負うべきだろう。百度はあくまで金を貰っている広告と明記すべきだが、この事件の主犯ではない。こういう藪医者を徹底的に調べて潰せばよいと思うが、利権が絡んでいてできないのだろうか。

何でも儲かれば良いというのも限度がある。こんな病人を餌食にする病院を好き放題に営業させているのだから、国民の敵は本当に外国ではなく、国内にあるじゃないか、と言いたくなる。テロ対策費よりも、こういう病院撲滅にこそお金を使うべきだろう。

魏君の死が無駄にならないように、少しでも改善することを願うが。
悲しきかな、これ、本日の北京なり。