合言葉は「移民した?」: 第3の移民ブーム

「移民した?」

最近の中国の流行りの会話は一昔前の「家買った?坪いくら?」に代わって「移民した?」になったそうだ。確かに私の周りでも子供の教育に託けて移民を計画している友人が多い。テレビでも移民手続き代理店の宣伝があり驚いた。何でも今は第3の移民ブームというではないか。

中国週間(9月5日版)は「彼らはなぜ移民するのか」という特集を組んでいる。

  • 招商銀行の「2011中国個人財産報告」によると、個人資産1億元以上の企業のうち、27%が移民済み、47%が移民を検討中。
  • 2010年の社会科学院の「全球政治と安全」報告書では、中国は既に4500万人の移民を輸出する世界最大の移民排出国。
  • 歴史的には移民ブームは、第1期の80年代は蛇頭とともに海を渡った下層労働者、第2期の90年代、第3期に当たる今は主に新富裕層とインテリ。ほとんどが移民後も中国国内に在住。
  • 移民理由は招商銀行の報告によれば、高収入層の58%が子女の教育のためと答えている。が、雑誌はその他に商人は財産の安全を、官僚は(汚職などの追及からの)地位の安全を求めている、すなわち「安心感の追及」。その他、福利や生活の質を挙げる人もいる。

雑誌の巻頭では、確かに移民は社会が解放された自由の証でもあり、個人の合法的な選択だが、一方で、社会のエリートたちが群れをなして移民するのは心の空洞化で、やはり公正な法制度、福利、(環境を犠牲にしない)発展方式や社会発展の確実性をうちたてないと、この波は止まらない。人々がこの社会において尊厳をもてるように!とメッセージしているが、まさに深く肯いてしまった。

豊かになっているのに、ますます増える不安感。
中国の最大の「リスク要因」は実は13億の人々のこんな「心」なのかもしれない。