入試収入は10億元!「混乱、複雑、仰天」の中学受験−その2

さて次に、このお受験にかかる費用について見てみよう。

まず、先ほどの「占坑班」こと名門中学付属の塾費用だが、一年に4期あり、2000~3000元というから、年間にして8000~1万2000元。2010年の北京市の勤め人の平均月収が約4200元だから大きな負担だ。

様々な入試を経てめでたく入学が決まると、今度は巨額の「入学寄付金」を支払わなくてはならない。「今年の当校の相場」はあっても、ここはさすが「人治」と交渉の国。子供の学力、戸籍、コネなどによって金額は上下する。それだけでも十分に驚くに値するが、更に親は「あくまで自分の任意の意思で寄付させていただきます」という書類にサインしなくてはならない。これ以上の嘘の強要はない。こうなってくると第三者からみればほとんどやくざの世界だが、とにかく喉から手が出るほど子供を入学させたい親の中で異議を唱える人はいないから無くならない。それどころか寄付金額はこのところ「売り手市場」を反映してうなぎのぼりに急騰している。

この入学寄付金は一端区の教育委員会が設けたXX中学・教育基金会の口座に振り込まれ、学校には7~8割が返金されるという。逆に言うと区の教育委員会は白昼堂々寄付金の2~3割を行政収入として差し引いているわけだ。大胆である。

そしてこの額がすごい。毎年北京の小中学校の入試「収入」は15億元!に上るというから仰天だ。区と学校で3:7で山分けしたとすると学校には10億元以上が流れる。(因みに学校と区の教育委員会はこのお金の分け方に関する明文化された規定もなく、公開もしていない。全ては駆け引き次第だ。これは中国の非常~に分かりにくい政府財政の典型的な運営方法だ。)

21世紀教育研究院の「中学受験研究調査」によると、中学受験の準備に親が使う平均費用は8万7000元に上るという。いっそアメリカに留学させようと考える親が多いのも納得がいく。社会主義は一体どこに行ってしまったのか?

日本の私立中学より高い中国の名門公立校、これが本日の北京である。