洛陽で起きた国家機密事件と「間違えて捕まえちゃった」事件

黄河の中流域に位置する河南省洛陽(らくよう)といえば中国3大石窟、竜門石窟で知られるシルクロードの起点で、漢民族の発祥地ともいわれる古都だ。ところが本日の新京報にはこの洛陽で起きた2つのおどろおどろしい事件が載っている。

一つは妻子持ちの変態公務員が1年をかけてアパートの地下室から掘り下げて洞窟のような秘密の部屋を作りそこに水商売の女性4人をだまして誘拐し2年に渡って監禁していたという「性奴隷」事件だ。恐ろしいのは、その他に2人の女性の死体も発見されたことだ。ああ、おどろおどろしい。

日本だったら国をひっくり返すトンデモ事件だが、こちらのブログで話題になっているのはこの事件そのものといよりも、この事件を取材した南方都市報の記者が「国家機密侵害」との理由で何者かから取材妨害を受けたことだ。一体何でこれが国家機密なの?

もう一つの事件はもっと社会性があり、深刻な中国の暗部を示した事件だ。洛陽市から北京観光に来ていた青年が北京の安宿で夜中に突然洛陽市下の県-郷政府が派遣した公安関係者10人に拉致され、洛陽まで車で送り返される途中殴る蹴るの暴行を受け意識不明の重傷を負ったという事件だ。青年はたまたま安宿で洛陽から上京していた陳情者と同室だったため仲間と誤解されて、陳情を阻止しようとした郷政府関係者から暴行を受けたという。この青年の兄がネット市民だったため、青年が気絶して道に放り出されていた発見当時の写真などをネットに公開し、事態が明らかになった。

市民を拉致して暴行を加え意識不明に陥らせた被害者を放置した郷政府の公安はシャーシャーと「間違えて捕まえちゃったかも」と言っているから驚きだ。本当の陳情者だったとしても、こんな乱暴は許されないのに何というロジックだろうか。

この国は大多数と同じ「主流」を歩いている分には日本で思うより案外自由度があるものだが、一旦、根っ子のように絡み合う権利・権力の闇に入り込むとその溝の深いこと。まるで底無し沼に足を踏み入れるのと同じ別世界が広がっている。

中国が世界に誇ったあの古都の文明は一体どこに行ってしまったのだろうか?