「娘は先生にはさせたくない」by元小学校教師

今日は5年前まで地方都市の小学校の国語の先生をしていた人に話を聞いた。

27歳の娘には先生になってもらうよう希望しなかったの?と聞くと
「先生業は(生徒の成績達成ノルマの)プレッシャーが多くて楽な仕事じゃないから勧めない。中国では昔は先生は尊敬されたが、今はちっともそんなことは無い。娘は楽で待遇の良い国家電力関係の仕事をしている」という。娘さんの今の就職には断然満足の様子だ。

「中国の子供は『(アヒルを太らせるための)詰め込み』でかわいそう。先生も担当する生徒の成績で業務評価が付けられ、昇進にもかかわるし、何と言ってもメンツが立たないからテストの点を上げ、留年を出したりしないようにしなくてはならない。とても疲れる。」という。

なぜ国家の指導者もみな「今の教育は間違っている」と知っているのに変わらないの?と聞くと、やはり「就職」という答えが帰ってきた。「清華大学や北京大の卒業証書があれば良いところに就職できる」と。

負担削減は彼女が現役のころからずっと言っている。低学年は宿題なし、中学年は30分、高学年は1時間と決まっているが、そんなの守っていない。低学年から1,2時間の宿題は当たり前だ。

親の在り方についてきいた。北京では宿題や子供の勉強を徹底的に親の貢献に頼る悪しき習慣があるからだ。ところが、彼女の地域は親の教育レベルも低いこともあって、親には頼れないという。それに「子供たちに勉強を分からせるのは先生の仕事だ、親ではない」ときっぱり。
北京と地方都市では随分事情も違う。

明るく快活な元小学校教師のおばさんは、今は旅行が楽しみ。教科書の中で教えていた「人民大会堂」を自分も見たことがないので、今回北京で是非見て帰りたいと言ってタクシーに消えて行った。

現場の先生もちっとも良いと思っていない、
分かっちゃいるけど変えられない、
これが今日の中国の教育である。