今度はスパルタ体罰「狼パパ」!「奴隷教育を広めるのか」と非難の声次々

親業というのは確かに難しい。MBAというような授業もないし、王道もない。
激動の時代に生きる中国の親は殊の外、現代的な家庭教育の「教科書」を求めている。
今中国の出版業界では「親読本」がものすごく売れている。

これに乗じてひと儲けしようと今度は「だから北京大兄弟」という自慢親読本を出版した人がいる。メディアで取り上げられ始めたが、一般からのウケはかなり悪い。

この自称「中国の狼パパ」は広東人で、香港籍の奥さんとの間に子供4人がいて、子供は中国で教育。3人(香港籍と米国籍)が見事に北京大に合格。その秘訣は「たたくこと」という。「たたくのは家庭教育にとって不可欠なだけでなく、もっとも素晴らしい一部分」(?)「子供は12歳以前は動物としての特性が強いのでたたいてこそ理屈を教えられるもの」などと自分のこん棒教育法を披露した。

兄弟そろって北京大は確かに羨ましい事実だが、このパパは今の中国の教育をめぐる空気がちっとも読めていなかった。メディアはこぞってこの暴力パパを批判。今中国の親が求めている方向はこれとは正反対だ。新京報の社説では

子供はみな外国人枠で北京大に入っており、普通枠入学者とは比較にならない上、中国の教育はこれまで「コミュニケーション能力、社会適応力、独立した判断力、応用能力に欠ける「高得点低能(人間)」や、「生理上の成人、心理上はこども(人間)」を大量に造り出している。」

「「狼パパ式教育」はこれまでの弊害だらけの「試験対策教育」や「詰め込み教育」以上に深刻。中国にはこういう「狼パパ」が少なすぎるのではなく、多すぎるのだ、何を喜んで宣伝するつもりなのか?」

社説が指摘しているとおり、今中国の親が求めているのは、「脱中国コテコテ教育」。世界の主流の理想像と同じ自由闊達で人間的な魅力と実力をもった子供の育成をと望んでいる。
こんな時に「こん棒教育」で威張っていれば「今更何をおっしゃるか」、と言われて当然だ。

裏返せば「狼パパ」へに対する中国世論の強い反発は如何に中国の親が新しいものを渇望しているかの表れなのかもしれない。

「狼パパ」の「こん棒教育法」はしばらく世論から「たたかれる」ことになりそうだ。