汚職の歴史は長く

中国がつぶれるとしたら、汚職が原因だろう。

「共産党の汚職を叩こうとする者はつぶされるが、だからと言って汚職を叩かなければ、国がつぶれる」とは名言だ。

この汚職がひどくなったのは、改革開放の金権政治ゆえだと思っていたが大間違いだった。
今は退職して70後半のおじいさんと話をしていて彼曰く、自分は子供を自転車の修理技術でも何でも良いから自分の実力をつけてもらいたいと思って教育した。その時、単位の偉いさんの子供たちは皆寄生虫のようで、実力もないのに親の七光りで良い学校に行き、良い職場に配属されて何にも役に立たない人間になっていたのを見ていたからだ、という。

60、70年代の幹部子弟たちはもう既に腐敗していたということだ。今と違って金こそなかったが、権力の汚職はやはりかなり広範にあったわけだ。この歴史は長い。

中国では男女の結婚前恋愛は今でこそ大学位から解禁になったが、中高では未だに禁止されているほどで、「悪」という位置づけだ。恋愛を極度に嫌う悪しき風習の犠牲に会った若者の話を聞いた。

「昔は結婚前に付き合っているだけで、流man(ならず者、破廉恥行為)罪で罰せられた。知り合いは県の発展改革局の課長以下の大した職じゃなかったが、その息子が県内の娘と付き合って喧嘩をした時、ナイフで相手の女性に怪我をさせてしまった。丁度その時「腐敗幹部取り締まりキャンペーン」をやっていたのが運のつき、死刑に処せられて世を去ったという。「幹部」とは言い難い、下級官吏の息子だったがタイミングが悪かった。文革中でもない、訒小平の改革開放後の83年に20才そこそこの中国の若者の身に降りかかった運命だった。

日本人には理解しがたい中国人の「危機意識」は彼らが「何時どこから降りかかるか分からない運命」を知り過ぎているからこそ養われてきたものかもしれない。今日の北京はこういう尋常ならない数々の出来事を生き抜いてきた人々の汗と涙と誇りの街ということになる。

それにしても、長い歴史をもつこの国の汚職ははやり永遠に無くならないのだろうか?