「嘘は作文から始まる」中国の国語教育に危険信号!

やっぱり、そうか。変なものはヘンである。

中国新聞週間12月19日号は、2番手特集(1番は北京市の空気汚染)として「国語教育、最も危険な時の到来」という記事を載せている。

葉開という42歳の「上海の王朔」と呼ばれるちょっとした作家が、小学4年生の娘の国語教育をみかねて意見している。この人へのインタビュー記事。

葉氏の指摘する国語教育の問題点は

‐道徳主題別に章を立て、文章をその中に押し込む「思想道徳」主義。国語教育の政治化、道徳化、その結果生徒も好まず、文学的な古典はごく一部しかない貧相なテキストに。古典があったとしてもひどく手を加えられたものになっている
‐原作への尊重ゼロの文章を改ざんの横行。これが業界の闇ルールとなっており、誰も敢えてそのことに異議を申し出ない
‐作文には闇の主旋律があり、「良い作文」は主旋律通りのものでなくてはならず、それは生徒にとってみれば嘘の塊という作文評価のおそろしい基準の横行。

確かに。著作権ゼロの国とはよく言われるが、彼もこのことを問題にしている。中国の教科書にでてくる文章は原作の作家名さえ省かれて入れることが多々ある。(彼の調査では上海4年生(上)の教科書では40本中名前があったのは1本だけとか。)

日本の「はじめてのおつかい」という名作絵本があるが、この話が北京の小学3年生(上)の教科書に出てくる。こういう海外の非政治的な新しい文学を取り入れようという点では中国も新しい風が吹いていると評価できるのだが、原作への尊重という点では葉氏の指摘通り燦々たる状態だ。

まず、この話は日本語では「みいちゃん」が主人公なのだが、どういうわけか「良子」と勝手な名前がついている。そして、超適当にストーリーを伝える形で大幅に書き換えられている。更に決定的なのが、作者の名前が記されていない!おそらく作者の筒井頼子さんもこの事実を知らされていないのではないか。

葉氏は著作権保護と文学の正確さを尊重する立場から、名無しのごんべになっている教科書の文の原作を探し出して、変更箇所を研究したり、作者に連絡して一緒に意見するよう呼びかている。しかし、ある作家は「それは名誉なことだ」と、敢えて勝手な教科書での採用に対し意義を申し出なかったという。

彼のような動きをしている人は他にもいる。
浙江省の20人の先生は「子供を救え:小学校国語教材批判」を出版したという。
鄭渕や韓寒といった有名人気作家も公開で批判しているという。

遅れていることは遅れている、と一部の中国の人は私と全く同じに感じている。
「子供を救え」の行動が広がることを願ってやまない。
これ、本日の中国なり。