禁断の非共産党空間

中国のネット事情で新書を書いたジャーナリストは中国の微博についてこれは「非共産党空間」の拡大である、だからこれは社会を変えていくと述べている。全く同感だ。

トイレットペーパーネコババ行為も実は「非共産党空間」の拡大と共に発生した、という話を一つ。ある先鋭歴史家の友人曰く、

中国の人々は本当に毛沢東を神と信じて誠心誠意ユートピア建設の為に勤しんでいた時期があった。
しか〜し、74〜5年、4人バンが出てきた頃から人々は、職場の家具の部品を外して家に持ち帰り、家を改善したりするネコババを始めた。
理想のユートピアを共産するのではなく、自分の家を、自分自身をきれいにしようという思いがこの頃になって初めて芽生えてきたという。

なるほど。
職場のものを家に持ち帰るのはある意味で、非共産党的な行為でもあったわけだ。

ここで、「非共産党的空間」の独特の魔力を見たことを思い出した。

2年前だが、北京の海淀区劇場でお笑いドタバタ劇を見たときだ。
観客は20代〜40代のホワイトカラー中心。チケット代も100元前後と安くはない。
内容は日本のドリフターズ以下のお下劣な純粋ドタバタなのだが、会場は妙な熱気と笑いに包まれた。
日本、韓国、新疆のウイグル人達を笑いのネタにしたジョークや、下ネタのてんこ盛りだ。
「漢族」だけを想定したまさに2チャンネルの内容だ。

それでも、一緒に行った30代の友人達は「すっごく面白かった」と満足且つ爽快な様子。
友人たちは日本の2チャンネル層とは全く違う。
穏健・知的派というかメインストリームを行く成功しているホワイトカラーだ。

あれはいったい何だったのか?
会場の熱気はまさに「非共産党空間」を謳歌する自由への賛美そのものだったのかもしれない。
優等生的な共産党ではない、非共産党空間を謳歌する自由に北京の若者たちは酔いしれた。
そして、内容は低俗なほど非共産党空間は拡大する。

今どき共産党空間があることの方が日本人から見れば不思議だ。
とは言え、この国ではネット規制に見られるように「空間」の揉み合いが起きている。
不合理で不人気な方が押し出されるのは時間の問題なのだが。