592の貧困県

中国には国家認定貧困県という制度があり、592の県が貧困県に指定されている。このたび11年ぶりにこのリストが刷新され、38県が卒業し、新たに38県が貧困県の認定を受けた。

リストから除外された県には陝西省で08年に一人当たり平均可処分財政が省トップだった呉起県などもある。省トップで居ながら貧困を名乗るとは如何にもひどい。

貧困県の認定を受けると貧困対策ローン、貧困対策インフラ資金、各種減免税など様々な財政上の優遇を受け、さらに沿海部地域などとのカップリング支援を受けることもできるから、県の指導者としてはこの認定を受けたがる。

湖南省新招(コザト編)県は、貧困地域にこのたびめでたくも「選出」された。思わず、祝電広告を打ってしまったらしい。地元指導者にとっては大きな政治的「快挙」で踊りだしたい気分だったに違いない。

10年前、外国援助は中国の貧困対策資金がどうしたらより効率よく投入されるかを真剣に支援していて、その当時はまず貧困県のターゲッティングの精度を高めよう、県レベルではなく、村レベルのデータをもとに資金投入しよう、参加型で、資金運用ももっと透明に、使いやすく、などと話し合ったものだが、それから10年、相変わらず昔の問題は存在したままだ。

制度も、方向も正しいのだが、運用にあたってうまくいかない。我先に悪用して少しでも儲けようとする勢力に利用されてしまい、本当に資金が必要な人に援助が届かない。古くて新しい問題は今日もまだまだ現役のようだ。