ウェイボーの言葉遊び

ウェイボーが3億人のユーザーを引き付けるまでに成長した理由はメディア自身の利便さもあるが、やはり言論の自由が制限されているからこそ発展する政治ジョークの土壌と瞬時に巡る140字という手軽さがぴったり来たことだろう。

政治ジョーク・皮肉は言論の自由が制限されているところの方が自由で正面から反対し放題の国より発展しやすい。中国はまさにそういう意味では皮肉やジョークが最も成長しやすい環境と言える。

例えば、ガソリン代が上がってまたインフレが市民をうんざりさせているこの数日、こんな報道があった。街頭インタビューで「ガソリン代の値上げについてどう思いますか?」の質問に市民は「汚い言葉でもいいか?」と聞きかえす、「NO」とインタビュアーが答えると「じゃあ、何も言うことは無いや」という会話がウェイボーで広まった。

これだけでも、列記としたジョークなのだが、市民はこれだけに甘んじない。今朝、このスタイルをまねた次のジョークとして、こんなのが回ってきた。

(ウェイボーへの締め付けの一環で、昨日6人が(クーデター)デマ罪で捕まり、ウェイボーの評論機能が使えなくなったのを受けて)
「ウェイボーの評論停止についてどう思いますか?」「北京方言で言ってもいい?」「どうぞ」「くそったれのバカ野郎の〜〜XLKOIUELKOIUREOIROIEURHO」「?標準語に訳してもらえますか?」「(今言ったのはつまり)調和のとれた社会の文明行為は私たちから」とくる。答え手のこの部分は実は全て非常に汚い北京語の罵りのオンパレード。最後の「翻訳」部分は、優等生そのものの政府のプロパガンダを貼り付けてあるから、このギャップが面白く、広く回覧されているわけだ。

規制強化する政府を、庶民の4 words と政府のプロパガンダを対比してフルに活用しつつ皮肉る。さらに流行りの会話形に載せてアレンジしたというところに捻りがある。

中国は、これだけ広いから中には優れた批判精神と文才を持ち合わせた人が何人かいる。そして、瞬時に多くの人々とそれがシェア―できるライブ感が楽しいのは、日本のツイッターでも同じだ。日常に多くの皮肉らずにはいられない矛盾があちこちに転がっているからこそ、中国でウェイボーがこれほど流行っているというわけだ。実名制が開始された今日も目下この火は消えそうもない。