新時代のビジネスマン

最近微博で良く見るSOHO中国のパン会長から見える、新時代中国のビジネスマンを紹介する。

この人は北京建国門外SOHO,現代SOHOなど中心地に巨大で斬新なビジネス・居住高層ビルを開発した中国屈指の不動産王。去年の富豪ランキングでも40以内にランクイン。

彼は微博でも人気で例えば月間「影響力のある有名人ランキング」では8位。フォロワー数は1000万人弱にも及ぶ。

小柄でスポーツ刈り、決して「ビジュアル系」ではない腰の低い至って普通のおじさん風貌でありながら、視聴率の高い就職番組にも出演し、メディアの露出度は非常に高い。

彼のつぶやきが人気なのは何と言っても新しいタイプの人間だからだろう。
これだけ成功した既成権力者にありがちな、共産党を一応褒めておく、というような野暮なことはしない。政治には距離を置いているのが彼のスタンスだ。

去年のこんなつぶやきがある。
「今日昔の不動産会社創設20周年式典に行ったら昔の知人に出会ってこんなことを言われた。
「君の微博のこと、一部の指導者や役人は心配している」
「何を心配しているの?」
「暗黒さや腐敗を暴きすぎる」
「暗黒や腐敗反対は政府が奨励していることでしょう?むしろ大いに褒めてもらってこそ筋が通るんじゃないの?」
「噂やデマが出ると困る」
「それは法律にのっとって処罰すればいい」(2011年9月)

と。役人と何らかの接点を持っているビジネスマンとは明らかに違うスタンスであることがこの会話からうかがわれるだろう。因みに彼は才色兼備のケンブリッジ経済学修士の奥さん共々バハイ教(世界平和、男女平等を唱えるイスラム系の世界新興宗教)の信者でもある。

彼は「僕は純粋なビジネスマン。何をするにも純粋でいることが大切。何が怖いって、純粋ではないこと」と言っているが、この言葉にはビジネスマンとして「政治」から距離を置く彼のスタンスが見え隠れする。

出身は甘粛省の農村。14歳に名誉回復するまで、父親が右派と烙印をおされて苦労した過去がある。河北省の専門大学を出て河北省廊坊市政府に就職後3年で官職を辞めて広東省や海南省へ。そこで不動産業界に参入。その後、92年に北京万通をパートナーとともに設立し、95年には独立してSOHO中国を妻と創設。北京中心地に新しい北京を代表する大型物件を建設、その後、中国不動産業界を代表する一人として知られている。

重慶のBo書記と大連時代から親密な仲だった不動産業者の徐氏がつかまったと噂される。中国で商売をしようと思ったら、役人と結託するというのがほとんど常識になりつつある中、微博で当たり前に政府への嫌悪感へも含めて発信する新しいタイプの富豪も出ている。

自分の趣味、宗教を持ち、そして政府に癒着しないビジネスを展開するという新しい市民が中国経済をけん引する時代の先駆けとなるのだろうか?それとも彼は例外に終わるのか?この期待と危うさが併存するのが、本日の北京である。