壁の中の友人

私には一人壁の中の友人がいる。中国の闇の深さを体現したような事件に巻き込まれたのだ。

彼は全く仕事熱心で能力もあり、広く信頼されている人物だったのだが、運悪く怪しいビジネスマンと関係を持ったばかりに汚職の罪で捕まってしまった。

捕まったばかりの頃は周りが彼が中で自殺でもしないだろうか、とかひどく落ち込んでしまわないか心配していたが、昨日聞いたところによると、最近では4人一部屋の「療養式」の部屋に移され、手紙、本、CD,など基本的に何でも届けられるという。唯一不自由なのは外に出られないこととか。食事も自分で作るらしい。彼も気を新たに前向きにして頑張っているとのことだった。

勉強熱心な彼は毎日英語の勉強をしているという。手紙も弁護士を通じて届けられるというから一通書いた。

彼の家族はその武警の敷地内にある敷地までは入れる(が、直接本人に会うのは回数が限定されている)ので、そこに子供を連れて行って遊ばせながら彼に見せると言っていた。窓から彼が見えると言う。

家族は初めてそこに行った時は泣いてしまったがが、もう彼を悲しませたくないのでもう泣かないという。

彼女は「もう一回文革が来たと思えば大丈夫。」「お金を稼ぐには中国は良いが、中国の政治は怖い、移民したい」と言っていた。彼はあと、1,2年はそこに居ることになりそうだ。

彼と彼の家族の健康を祈り、早く公平で自由な社会が実現するよう強く願うばかりだ。