男らしさと正統派男の料理

姉を持つ4歳の男の子の父親は、息子が女の子のしぐさを真似したりするのを見て真剣にその女々しさを心配している。これにつける一番の薬は息子に「男らしさ」をお父さん自らが示してあげることではないだろうか。

とは言え、すっかり女性化された現代を生きる我々にとって「男らしさ」を表現する場面はそう多くない。今日、こんな我々にとって貴重な機会に出くわした。

北京で暮らす四川省出身の彜族の若者30人が集まる会に呼ばれて行ったのだ。

30人もの食事を賄うのは大変だろうとは思っていたが、着くとギャラリーの中庭の地べたに座って羊の頭を半分に切ったり、鳥の内臓を出してホースの水で処理している男たちがいる。プラスチック製の巨大なたらいには皮をはいで頭を取ったもう一匹の羊が横たわっており、その横では、両手を広げても一人では持てない巨大な鍋がグラグラ煮たっている。更にその横にはもしゃもしゃの2匹の羊の毛皮が無造作に置いてある。

彜族では羊や豚、鳥をしめるのは男の役目。地べたのキッチンでテキパキと羊一匹を解体して料理していく男たちは、それはもう「男らしい」。

今朝6時から密雲県から生きた羊2頭、合計70キロを生きたまま車に載せて仕入れてきて、会場の798のアートギャラリーの中庭でしめてから拾ってきたらしき丸太を使って火をおこして料理しているのだ。

12時頃以降に来いというので1時頃行ったが、料理ができるのは2時半以降とか。3時頃にこの「羊全部入ってますスープ」を頂いた。塩と山椒、トウガラシのさっぱり味だが、臭みもなくとてもおいしかった。

人間はかつて皆やってきた火をおこすこと、動物をしめて無駄なく料理すること。
それに今日は魔よけ師も登場。人間も超人間的な何かを認めて、謙虚になること。
そうしたうえで、男女がそれぞれの「らしさ」を発揮することの大切さを彼らから思い出させられた。

こんな今となっては稀有な「男らしい」輩にも会える。
これ、本日の北京なり。