200億元超の出産罰金は何処へ?一人っ子政策大ピンチ

中国の地方財政は調べれば調べるほど、分からないということが分かってくるということが過去数年の真面目な私の調査結果だったのだが、悪名高い一人っ子政策違反者への罰金(財政収入)の行方が今日は問題になっている。

(飛び込み金メダリストの田亮が香港で二人目を産んで求められた罰金が引き金となった→我国每年超生罚款可能超200亿 去向成谜|田亮二胎事件|超生罚款|社会抚养费_新浪新闻

何と安徽省2010年の統計では8.45憶元だったので概算で省年間平均9億元×31省=279億元の計算になる。この巨額の罰金はどこに行ったか全くもって不明なのだ。
こうなると白昼堂々の強盗よりすごい!

山東省の例では省、市、区・県での山分け比率は5%、10%、85%というから大部分が末端政府に行っているのが分かる。「そうでもしなければ、人から嫌がられるこんな仕事は皆したがらない」(一理あり。納得?)「社会扶養費が計画生育を養っている」とも指摘される由縁である。

一人っ子政策に反して2人目を産んだ市民は「社会扶養費」という費用(通称罰金)を政府に払わないといけない。しか〜し政府曰く「これは罰金ではない。社会の資源を占有することに対する経済的な補償」とか。

それじゃ、なぜ3人目は2人目の2倍の「扶養費」になるのか?説明がつかない。やっぱ罰金じゃん。

この扶養費は各地政府が勝手に基準を決めていてさっきも言ったようにその分け方も千差万別だ。北京市は全国でも「規範的な」方で、市民平均年間収入の3〜10倍という。
(が、この海淀区では6〜8倍なのを私は良く知っている)

さらに、通州区のフェンさんは15倍の罰金を言い渡されたが支払えず、現在裁判中。4歳になる子供は未だに戸籍もないという。と、「割とまとも」と言われる北京でさえちっとも足並みがそろっていないのだから、もっと内陸部にいったらさぞめちゃくちゃで収拾がつかないかは想像に難くない。

この報道の最後は計画生育委員会張二力元統計司司長の言葉で締めくくってある。

「計画出産政策の改正はあっても無くてもよいものではなく、焦眉の急である。さもないと20年後の労働力不足と高齢化は深刻で中国は負担に耐えられなくなる」!

上海市の出生率は日本の1.2%を大きく下回る0.7%で世界最低という。灰色で不合理な「扶養費」そのものの存在とともに、人口構成上の視点からもこれ以上放置できない、と言うところに落としてあるのが興味深く、そしてとても深刻でもある。

罰金をかえせ〜〜。罰金をやめろ〜。これ本日の中国なり。