参加型診察

中国の人の言う最もポピュラーな文句は「人が多すぎる」である。ここでは、世の中の全ての問題がこれに還元されるわけだが、本日もまたそんな還元論に一票入れたくなる状況に遭遇した。

先週、東直門の地下鉄の階段のタイルが壊れていて5センチほどそこだけくびれていたのを知らずに階段を下がっていた私は不覚にも足を滑らせ捻挫・打撲してしまった。

シップでほとんど治ったのだが、歩くと少しだけまだ痛む。念のため1週間後の今更だが病院に行った。
11時という素人時間が良くなく、専門家の予約は午前中はすべて終わっており、急診しかすぐ見てくれないというので待つこと1時間半。

私は52番だから、先生は午前中に少なくとも52人診ている。
私が診察を受ける間も診察室には10人くらいの人が固唾をのんで診察のチャンスを狙っている。
私が質問を言い終える前に先生が一瞬椅子によっかかった途端、5人くらいがレントゲンや診察書を一斉にカルタの勢いで先生に突きつける。

私は「ちょっと待った!1時間半も待ったんだから、質問くらいさせて!」と両手をあげて5本の手を遮って自己権利を主張しなくてはならなかった。(この瞬発力が足りなくて、既に私は何人にも番号が後の人に抜かされていたのだ)

捻挫の診察でよかったが、本当に中国の診察は「参加型」である。
これだけは何度やっても慣れないものだ。
これ、本日の北京なり。

追伸:診察結果は「没事」。私が「普通にしていれば痛みはない」というと「じゃあなんで来るんだ」と先生。
折角行ったので意地もあり「成果品」としてシップをゲット。4枚で75元もする高級品だ。丸い粘土みたいな漢方を温めから貼り付ける貼り薬。何事も経験である。