中国と賄賂

友人が読売のコラムに中国の賄賂の習慣について書こうとしていると話題に上った。これは良い、深いテーマだ。

70のおじいさんが自動車の教習所に行ったら、教官はたばこをもらうことに慣れていて、そうしないとものすごく悪態をつくとか。学校でも病院でもこういう行為が標準になっている。この現象をどう対処すべきか、どう理解すべきか?

確かに、自分のほんの僅かな権力をこの時とばかりに最大限「乱用」しようとするおっさんやおばさんは多い。例えば、自動車免許を扱う公安から自転車置き場のおばさんや門番、プールの切符切りのようなごくごく庶民のレベルでも。そうすることで、皆が彼らの顔色を伺って良くしてくれる効果を期待しているようだ。(で、おそらく彼らの期待通り、人々は心付けを贈ったり、お愛想を言ったりして大切にしてくれる)

一方で中国人のAさんは大の賄賂嫌い。病院などでも心付けをしたりするのはイヤで、一律拒否している。並ぶ時は他の人と同じように並び、それでも、困ったことには出会っていない。

先日もタクシーの若い運ちゃんが従兄が1年たっても子供ができなくて、不妊かもれない(とは私は思わんが)ので、不妊治療のお医者さんに診てもらいたがっているが、先生はなかなか予約が取れない。そのために2000元を用意し、知り合いの看護婦経由で先生に話をつけてもらうので、今からそのカネを届けるという。

先の賄賂嫌いの友人Aは「こういう人が賄賂をはびこらせる。全くの被害妄想だ」という。私もちょっと、そこまでする必要はあるかいな?と頭に浮かんだ。

なるほど、Aは病院だろうと、公安だろうと、学校だろうと全くおべっかを使ったりはしないし、ましてや物品を送りつけたりもしない。

この会話に居合わせたBさんは「相手もこちらの足元を見る。強気でガンとした立ち居振る舞いも大切」という。

下手にモノを送ったりするとなめられてもっと求められる。当たり前だ、と普通に堂々としているべきという理屈も成り立つ。

中国の贈り物・賄賂文化。深いです。

それにしてもAさんやBさんは少数派だろう。怖いのは、被害者であるタクシー運ちゃんなどがお金を渡してずる込みするから、尚更キチンと待っている人の順番が遅くなる。結果として被害者が加害者?というか賄賂体制の一部になって「助長」している点だ。

でも、昔よりは門番とか自転車係の人はえばらなくなった来ている、変わるはずじゃと思うのは私だけだろうか。

これ、本日の北京なり。