洪水をめぐる美談と放談

21日に北京を襲った洪水は61年ぶりの大雨で、友人にも怖い思いをした人がたくさんでた。
交通麻痺で空港から出られなくなった人は8万人というからすごい。

2日たった昨日も報道は洪水についてで持ち切りだが、どれも胡散臭い。

  • 「北京人、中国を感動させる」(北京晩報社説)とか、
  • 「より強大な北京精神のチカラ」(新華社電)
  • 「心に深く刻まれるレッスン」(人民日報)
  • 「プラスエネルギーの充満」(中国青年報)と基本的には美談づくしだ。

本来、洪水は天災で惨事である。それを美談でごまかそうというのは何とも国民をばかにしてはいないだろうか。

一方、微博はというと、なぜこんなにひどくなったのか、他にやりようは無かったのかという書き込みで一色だ。

例えば、

  • ドイツ人が100年前に作った青島の下水施設は問題ないのに、北京は惨事になったとか、
  • 春節前の爆竹禁止のショートメッセージは全ての市民に発信されるのに、洪水警報は「技術的に無理だった」と言い訳する当局・電話局はおかしいとか、
  • 過去数年似たような水害が起きているのに、無策だったとか、
  • 市民はボランティアで車を出して送迎をしたのに、公共機関は無策だった、
  • 高速道路で車が浸水の危機なのに、平気で料金を徴収していたとか、

  そういう話でいっぱいだ。そして既に「本人の合意により削除されました」という内容も多い。

友人曰く、政府は無能なだけでなく、恥じ知らずだ、と。
市民の不満がメラメラと燃えつつあるから、政府は逆に美談で火消しに躍起になる。
それへの不満がさらにたまる。
力で抑えようとする矛盾は日々拡大し、ひっくり返る日はますます近付く。

美談でごまかすのはあまりに時代遅れではあるまいか。
これ、本日の北京なり。