尖閣島はだれのもの?

10日に日本政府が国有化に踏み切ると、それまで静まっていた反日ムードに再び火がついた。
日本大使館は2度にわたって「中国の街中での自分の行為」に注意するよう勧告してきた。

おかげで、週末に予定されていた日本人キッズの公園遠足も中止。日本人小学校の運動会さえ中止という。知人には日本大使館から送られてきた教科書の封筒に「小日本鬼子」といたずら書きがされていて、配送の兄ちゃんにも「日本はかつて悪いことをした」と言われたそうだ。幸い、私の周りでは、全くいつも通りで緊張感はない。

北京に住んでいる日本人とおそらく日本在住の中国人は、この尖閣騒ぎで最も影響を受ける人だろう。そしてもちろん日中ビジネス関係者。(カルロスゴーンも早期の収束を願うと発言している。)

「活力日本展」だって何億円という税金と多大な人力を使って中国での、日本プロモーションをしているのに、尖閣の負のインパクトはあれの100倍以上の威力で日本のイメージとそれに伴うカネと名誉・人気ダウンだ。

道徳的「べき論」を置いておいて、リアルポリティークの戦略的視点に絞って論じたとしても、今回の騒ぎで日本が得したとは到底思えない。第一日本が今集中すべきは経済復興じゃないの?

あの島は近代以前には日本とも中国とも関係があった。が、日本は近代国家の国際法に基づいてあれを日本の支配下においた。国際法上は日本のもの、と言うことになる。それが、近代世界のルールなのだといえばそれまでだ。一方、近代化に出遅れた中国だが、だからと言って、いい分が全く無いわけでもないのも事実。

日本がとにかくあれを実行支配しているのだから、放っておけばいい。漁業とか油田とか具体的な問題についてだけ、協議すれば、それは具体的に解決する。領有権に解決はない。そのために戦争になるなんて、こんなバカげたソロバンはない。庶民の生活には全く関係のない無人島のために殺し合いをするなんて。

もうひとつリアルポリティークの側面から分析すれば、日本が好むと好まざるとに関わらず、中国の国力は向上しているのだ。この事実をもっと冷静に捉えてから、対策を打つべきだ。30年前とは国際関係も違う。

exit strategyを持たないまま、強気がカッコイイ、という雰囲気でここまで来てしまったが、難しいのはこぶしを「振り上げること」ではなく、如何にこぶしを「収める」かである。
全くもって浅はか。不毛なナショナリズムによる日中双方の傷だが、傷は少ないに越したことはない。

こんな時こそ、利己的な人気取りや政局上の利益ではなく、本当に大局から物事を考えられる賢い政治家が求められるのだが。。。。

これ、本日の北京なり