1時間で本、届けます

又話題変わって今度は進化を続ける北京の本屋さんの話題。

日本では代官山の蔦谷が人気だが、中国もこの数年、ネットとこの国独特のコピー図書の両方の圧力で、ただでさえ利益率が薄い(15〜20%)本屋業界は大変。
「本が好き、一生本関係の仕事をしたい」という徐さんは、そんな逆風から2回目の起業をした中国人。

時計を戻そう。
本好きな徐さんは、中国で初めての広告・設計専門書店を1995年に起業した。
彼が北京大学を卒業した90年代前半の中国の広告界は全くゼロからの出発。頼りになるのは本だけだった。一時は路面店を7店も出し、100以上の広告関係書の出版もした。

しかし、2000年半ば以降、文頭の如く大手ネット書店の圧力で、路面店の収益は減る一方。

徐さんが北京から杭州へ出張した夜のこと。持って行った本は読み終わってしまった。もう一冊読みたい!と思ったその思いが、彼の第2の起業につながったという。どこでも1時間以内に本を届けるというネット本屋の「快書包(fast bookbag)」を徐さんは2010年6月にオープンした。

目下対象エリアは北京、上海、西安、成都、長沙、杭州、深センの7都市に拡大。新手の本屋として、また、中国の流通・配送の新モデルとして徐さんは中国の多くのメディアでも注目の的だ。

「ネット書店大手のアマゾンと当当とは違うネット書店」と考えた徐さんは、「ネットのコンビニ」のコンセプトを思いつく。本もベストセラーなど500種類に絞り、更に会社員向けのお茶やおやつなどすぐに欲しいモノを限定して売る。

無料で1時間で配送してくれるという素晴らしいサービス。一番コストがかかっているのもこの部分だ。例えば北京の場合300の区画に分けて網掛けして、1つづつ配送ステーションを設け、注文が入ると送り先の最寄りのステーションから配達する。

もうひとつ、彼のビジネスの特徴は微博を使った活発なソーシャルマーケティングだ。微博上でも注文を受け付けている。毎日微博を開く。「子供のママ(奥さんのこと)に間違えて子供の靴を穿いて出たと言われた」というパーソナルな面白いコメントや、商品を受け取って喜んでくれた消費者のコメント、会社の人事募集まで何でもここに書きこむ。フォロワーは3万5000人に上る。