中国人、Kさんの憂鬱

Kさんは黒竜江省チチハル出身の朝鮮族で、地元の高校を出てすぐ韓国と日本に行き、昨年10年の外国生活を経て母国に戻った。
昨年から初めての北京生活を旦那と小さい息子さんと開始したばかり。性格は非常におっとりだ。
韓国、日本、中国で生活を経験しているKさんに3カ国の違いを聞いてみた。

まず、日本。
「疲れます。みんなニコニコしているから自分もそうしないといけないし、私そういうの下手なんです。日本では表面で相手の喜ぶこととか言ったりするけど。」あと
「日本には市場が無いですね。皆スーパー。韓国に行って、野菜の市場に行っておばあちゃんがいたりして、ほっとします」という。なるほど。

日本では一言も店の人と接触せずに、いろんな買い物が済んでしまうが、中国も韓国もそうではない。中国ではたわいのない買い物でもなぜか叫んだり話し込むことも多々だ。

では、中国は?
「中国は皆自分勝手です」いきなり、なるほど。

良く聞くと、地下鉄でのマナーが悪い、病院なのにトイレが不衛生、とかく人々が強引ということころが非常にストレスになるという。

私に「中国に来た当時そう思いませんでしたか?」と聞くので私は、
「中国は日本と違って混沌でエネルギッシュ。毎日もっと凄い混沌な事件を発見するのですごく面白がって見ていた」
と言ったら、彼女は

「私は中国人です。どうして同じ中国人なのに、外国人もいるなかでこんなことするのか、日本や韓国ならしないのにと思います。」という。
つまり、みっともない、と思う。無責任な傍観者としての私とは違って、当事者ゆえの複雑な感情が湧くらしい。

彼女の田舎は9割以上が朝鮮族でその多くが20年前は韓国へ渡ったという。
そうした知人や親せきが中国に戻ってきて、皆異口同音に中国に馴染まない、慣れないと嘆くという。

そして韓国。
「私に合います。きれいで、便利だし。日本と違って感情ははっきり表すけれど、中国のように皆が我がままではない」と。

韓国は彼女にとって抑え過ぎの日本と野放しの中国の中間で程良いらしい。

日本は昼間の会社社会では極度に自己表現を抑え、その分、夜に退社するとこれまた不自然に「弾け」る節がある。

Kさんのように、海外から戻って祖国を見てみると中国に馴染まないな〜と感じる中国人もいっぱいいることだろう。

こういう眼こそ、この国を変えていく力になってもらいたいものだ。
これ、本日の北京なり。