日本アニメ・ドラマを支える「ネットボランティア=字幕組!」

昨日は、日本の特撮戦隊モノが大好きという30歳のデザイナーから話を聞いた。
日本の「シンケンジャー」(3,4年前に放映された5レンジャー系の少年向け番組)をどうやったら見られるか教えてもらうためだった。

中国のネットでは文字通り「何でも」見られるのは知っていたし、ある程度は利用もしているが、ここまですごいとは知らなかった。

QIRE123ネット(いわゆる動画サイト)に行ってみると、国別になっており(最近は尖閣の影響で「日本」という文字がでにくくなっている、トホ)連続ドラマは大陸、韓国、HK、台湾、日本、タイで分類されていて、更に日本を選ぶとAからZまでアルファベット順にざっと7〜800種類のドラマが入っている。勿論各ドラマは10話以上あるので、さらに何話かを選んでクリックすると動画が始まる。サブタイトルは中国語だ。

マンガはジャンル別に「冒険、熱血、ギャグ、少女、ファンタジー、推理、スポーツ、クイズ、童話、古典」と並ぶ。その8〜9割が日本だ。

80年代初期にアトム、一休さん、ジャングル大帝レオ、ドラえもん等が一世を風靡したのは勿論、最近のではワンピース、ハンターXハンターとかなんでもある。この先は私も初めて聞く、銀魂、幽遊白書、ゴーカイジャー、パパの言うことを聞きなさい、ダンスインザヴァンパイアバンド、百花繚乱などなど。(因みにこれは全てQireネット・アニメランキング10以内のもの)

そして驚くべきはこれからだ。日本で放映されたアニメやドラマは24時間以内に中国のネットに字幕付きで無料で公開されているのだ。このネットでも放映中のものと「完結版」とに分けて表示されており、熱心なファンの利用が多いのは最新版だ。

例えば13日夜10時に日テレで放映された「シェアハウスの恋人」は翌日の夜にはアップされている。

この神業的な早い仕事の裏には、「字幕組」と呼ばれる仕事人達がいるという。彼らはこんな人たちだ。

  • 主に外国語を勉強中の大学生
  • 非営利目的で無料・ボランティアで翻訳作業をする
  • 自主的なグループを形成していて、グループ内に翻訳作業役や校正役など分業もできていて、質の高さや仕事の速さなどで評価されていて、日本モノだと「猪猪字幕組」がレベルが高い
  • 海外で放映されたモノをいち早く国内に紹介することへの使命感と誇りが彼らの原動力になっているとか。
  • 一番初めは日本の「連ドラ」を見たいというグループから自然発生し、今ではアメリカの連ドラ族も登場。北京大学の李揚は「the big bang theory」の大ファンとか。
  • 日米ドラマ、日本アニメ、のほかに最近では「公開講座ファン」も誕生している。最近は、英語方面で拡大中らしい。

外国語を勉強していれば、最新の本国のドラマを翻訳して世に出す仕事をしたい、と思う情熱が湧いてくるのは当然だ。これを実現してしまう、というのが中国の若者ならではである。

「自分の趣味・勉強のためで、利益のためではない」ので著作権違反では今のところ捕まっていないという。こういうゲリラがどんどん海外の最新の空気を輸入している。ネット時代ならではの若い情熱、ここにあり、というところだろうか。

これ、本日の北京なり