アップル叩きこそダブルスタンダード

3月15日の消費者デーでCCTVがアップルを叩き、それを支持した有名人の微博メッセージが「やらせ」とばれて、その晩はCCTVの番組自体が批判されると言うまさにBACKFIREとなったことは既に書いた通りだ。

しかし、この国は喧嘩とメンツの国。怒らしたら引っ込まないぞ、と言わんばかりに4月25日から人民日報は5日連続でアップル叩きの大キャンペーンを開始。どうしたんだ、一体?と言いたくなるほどの執拗さでアップルが「傲慢で横暴」と叩いた。

4月1日にアップルのクックCEOが「謝罪」し、問題となっていた外側のカバ−も修理と一緒に全取り換えすること、その日から更に保障期間を1年に延ばすこと、コンピューターのチップが壊れたら1年でなく2年間保障することなどに合意した。

これで、終わりかと思いき、更に18日しつこく、今度はエロコンテンツ源にアップルストアを名指し。こう聞いて急いでそのエロなるものをアップルストアで探したが見つからないぞ〜という消費者の嘆き?叫びが挙げられるくらいマイナーなアプリのようだが、まあしつこいこと。

これら一連の動きを中国の人はどう見ているのか?まず、人民日報、CCTVの主な主張はアフターケアの「内外格差」で、さらにそれを民族論として盛り上げている。中国人消費者をばかにしている、というのが主な主張だ。

この主張に踊らされている中国人も勿論いる。アップルは傲慢だ、アメリカ政府が華偉など中国のIT機器の政府調達を禁じたことへの当然の報復措置だ。やったらやり返せ、自国のブランドを支持しよう。と言う声もある。

が、アップルユーザーがこう言っているのはめったに聞かない。それより、アップルより取り締まるべきことがあるんじゃないか、と言う指摘はあまりに正しい。他のひどい企業を放っておいてアップル叩きに固執するお前の方こそダブルスタンダードじゃないか、という批判が出ている。

中国で商売をしようと思ったら、中国政府高官と「関係づくり」をしないとダメよとという欧米PRコンサルの声をブールンバーグの記事が紹介していてちょっと不愉快だ。「関係作り」とは一体何?賄賂?慣れ合い?

中国政府のグーグル締め出しに続き、今度はアップル。ここの政府は形振り構わぬ猛打で「喧嘩」には勝ったかもしれないが、こんなことをしてどれだけ自分の株を落としていることか?

これはこの国の「強さ」を誇示しなくてはならないという強迫観念に呪われた「弱さ」ではないか。市民は「内外格差」無くアップルを手にしてどんどんグローバル化しているのに、政府は全く変わらない。その間の距離は広がる一方だ。

これ、本日の北京なり。