エズラヴォーゲル曰く、包み隠さず話すことで相手に隙を見せるな

前回も触れた「日本の立ち位置を考える」の中で、日中に横たわる歴史問題についてヴォーゲル氏が日本にこうアドバイスしている。

(中国当局が反日的な記憶を利用し愛国主義を強化し、若者がそれに呼応するという動きに日本はどう対応すべきか?として)

「私はもっと多くの日本人が中国側にあまり付け入るすきを与えないよう、残虐行為を含めて、日本が第2次世界大戦でしたことを包み隠さず率直に話すべきだと思う」

(その上で戦後の日本の対中貢献についても理解させるよう取り組み、日本の政策についても理解させ、意思表示すべき)

彼が指摘する言葉を裏返せば、日本は戦争について包み隠しているからこそ、隙を見せてそれを中国がそれを利用している。とも言いかえられる。日本人がきちんといつ何がなぜ起きたのかを知らないことが却って日本の弱みになっているという。これはその通りだと思う。

日本人の活字消費は世界でもトップクラスだが、この時期の事実についてあまりに知らなすぎる(自戒も込めて)。具体的には知らないが、どうせ良いことではないと知っているので、「腫れもの」となってくる。すると触れられるのが非常に怖く感じ、一種の恐怖感が生まれる。そこに中国がグリグリやってくるのが負担なので、今度は一気に、「中国は利用しているだけ、デマだ」なんて極端なことを言い出す。そんな悪循環にはまってはいないだろうか。これは勿論、こんな主張は国際社会では暴言以外のなにものでもなく、日本の国益にはならない。

非常に理知的で、日本と中国を実によく知る第三者だからできる指摘ではないだろうか。私はコレで一つこの難題の結び目が解けた。

覆うから腐るのだ、ちゃんと太陽に当てて干せ!

これ、本日の読書の果実なり。