舞動軍魂

昨日はひょんな縁で解放軍芸術学院のショーを見ることに。
その題はなんと「舞動軍魂」。

「おおう〜軍の魂ときたかあ」抵抗を感じつつ、どんな解放軍・共産党礼賛のショーなのかと覚悟を決めて一番前の知人がゲットしてくれていた席に着席。会場は満員。主催者側は、「子供はうろうろさせないで」、などと結構真剣。

第2ベルが鳴り、開幕準備が整う。カーテンの向こうからちょろりと征服姿の目ぱっちりのイケメン司会者が現れ、「晩上好」と一言発すると2階席から黄色い叫び声がふり注がれた。

司会はまず、この会場となっている大学を持ち上げ、次に芸術学院を持ち上げ、会場を大げさに大いに盛り上げる。(このあたり、コテコテ中国の十八番。予想通りの展開。)

今夜は全部で12の出し物。最初のは迷彩色の軍服姿の大勢が等間隔に置かれた巨大レンガの向こうでロボットダンスみたいなことをしている。次はレンガをリュックのように背負って困難を乗り越えて行軍風のダンス。まさに、絵に描いたような解放軍芸術!で幕が開いた。

男っぽいので、全員男かと思ったら、このダンス、実は全員女だった。最後に全員が迷彩色のヘルメットをとると、お下げ髪が垂れるのでわかる仕組みになっている。これも演出のひとつ。

でたでた、と思っていたら、超軍隊、というのは、これと最後のフィナーレのみ(隣の70歳の退職体育教師はこの二つが一番好きとか。お年寄りには、主旋律です、ハイ)。

真ん中の10のプログラムは直接軍、という内容はほとんどない。特に、4番目の「前人的足跡」というのは非常に垢抜けていた。なんと、音楽はシネマパラダイス。衣装は白く中国風でもあり、ちょっとベトナム風でもあるさわやかなきれいな衣装。政治性ゼロ、非常にアーティな仕上がりになっていた。

そのほか、アクロバットっぽい早い動きのはまるでジャニーズをグレードアップしたみたいな商業的・ミーハーなアレンジになっていて、黄色い歓声がキャーキャーと沸く。そのほか、新疆とモンゴルの少数民族ダンスがあったが、これもまあ、趣味は悪くない。

一番驚いたのは男がいっぱい上半身裸の筋肉隆々ででてきて白鳥の湖男解放軍バージョンで踊った「一片羽毛」。これはすごかった。衣装もきれいだし、芸術的なのだが、なんとも中性的で、これが解放軍かあ?というギャップに驚き、このすごい先進性!?をいかに理解すべきか戸惑うほど。

とにかく、軍魂とおどろおどろしい題名がついているが、実際のトーンは非常にモダン。これなら、十分国外で公演をしても大いに盛り上がる。いうまでもなく、中国独特の徹底した訓練をつんでおり、レベルはかなり高い。これまで問題だったコテコテテイスト(とても海外に通用するようなものではなかいのは言うまでも無い)はどこへやら。衣装もきれいだし、躍動的なのはジャニーズ顔負け。

いやいや、中国は本当にいろんなところで変化を遂げているとまた驚かされた夜だった。

これ、本日の北京の夜なり。