靖国参拝

年末でぼうっとしていたが、その間に安倍がした靖国参拝はよくよく考えるととんでもないことだった。

BBCで在英国日中大使をそれぞれインタビューしているが、こちらでも、英語の上手い下手の次元ではなく日本は劣勢だ。国際社会で日中はこう見えるのだ。

戦犯の祀られている靖国を参拝するのは、いかに英霊を弔うためとか、平和への誓いといおうが、そもそも第2次大戦の日本は悪くなかったという歴史観とともに、アジアは勿論欧米でも受け入れらない理論だ。

そして何より、今日本は中国と領土で喧嘩をしている。中国は欧米のどの国にとっても胡散臭い国ではあるが、重視せざるを得ない国へと大きく変化している。領土はきちんと主張すればいいが、その喧嘩中という文脈のなかで果たして参拝することがどれだけ日本の戦略上の利益となるか?

答えはノーである。利益とならないだけでなく、これは世界中に日本は歴史を反省しないで自国の侵略を指揮した戦犯を意固地に参拝して英雄視する国だ、というイメージを広め、尖閣島もそんな日本がもっていった、と主張する隙を与えてしまった。

中国国内の報道ぶりを見てみると、市民の見る都市報などに大きく取り上げられたのは参拝翌日の27日のみ。この日は新京報でもトップの見出しで「中国は安倍の「鬼参り」に強烈に抗議-外交部長、日本大使を呼び厳重抗議:国防省、日本は全ての結果を引き受けなければならない」と伝えた。

が、それ以外はまったくなし。人民日報は1月に入ってからもいくつも批判記事を出したのとは対照的な静けさを保っている。

今回は日本国内でも反対があったことなどに触れ、国際的にも批判の声が多いことを紹介し、安倍個人を批判する手法をとっている点が特色。極めて抑え目のトーンでの報道だった。

2012年9月の尖閣国有化での暴動化の記憶が新しいが、今回は国内での反日感情にはまったく訴えず、日本との喧嘩の舞台は国際外交舞台に移して展開。BBCでのインタビューはその一部で、中国は有利にリードしている。

すでに、ワシントン・ポスト、NYtimes、ウォールストリートジャーナルなどがこぞって日本の今回の参拝を批判しており、日本の孤立化は今後更に強まる可能性がある。

中国は胡散臭い国とは思いつつも、欧米もより商売上の繋がりがある中国を見捨てるわけには行かないのが現状だ。日本ももっとそのへんの新しい変化を読み取りつつ、短期的視野の国内感情論ではなく、長期的な視野から合理性をもつ戦略を練らねば。

今回の参拝は石原の国有化に続く愚行に思えてならない。これは、大人の責任だ。

嵐の前の静けさか?これ本日の北京なり

英霊を弔うより新たな英霊を出さないことが先決というこの記事、まったく正しい!http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140107-00117420-newsweek-bus_all