虫歯で土地を担保に入れた話
昨日は80をすぎるおじいさんとおしゃべり。
今でもあまり出来の良くない入れ歯で柔らかいものしか食べられなくない彼は、僕の歯が悪くなったのは若かったころからだ、という。
代用教諭で初めて小学校の先生として教壇に立ったのは彼が15歳位の頃。何でも顔の下半分が張れまくって大変なことになった。
病院にかかるにも家には家族が食べるのに十分な食糧さえなく、現金なんて全然なかったと。現金が入るのは、大豆を加工して豆腐にして街で売った時位。そのほかは1年かけてサツマイモ、大豆、グリンピース、落花生などを育てるが全て自家消費用。
グリンピースは乾かして粉に挽いて、それで麺を作る。この麺をDAOJIEという。
グリンピースはさっさと乾燥させないと、芽が出ていたんでしまう。
ある春グリンピースをほしておいた小屋からもやが出ていると思ったら、中では皆芽をだして全部だめにしてしまったという。
その原因はその時彼は歯を見てもらうために土地を担保に入れてそれで借りた現金を持って街に10日近く行っていたからだそうだ。
兄弟たちは皆小さくて、気づかなかったと。それまで母親がやってきたがお母さんもなくなり、人出がなくて、ダメにしてしまったと。
彼には2人のお姉さんがいるがいずれも学校に行っていない。彼を学校に行かせるために家族が支えた。「僕にとって学校に行くのは一本の命だった」という。きっと必死に勉強したんだろう。元々賢かったこのおじいさんはその後、ある新聞社の論説委員まで務めた。
そんなに貧しかった田舎から出てきて彼が生きてきて、今や80を超え、柔らかいものしか食べられない。彼は今幸せだったと感じているのだろうか?
勝手にそんなことを考えてしまった。
これ本日の北京なり。