多少の差はなきに等しい

うちの親が大人と崇める師匠が「多少の差はなきに等しい」、と言っていたらしいが、これは中国の内装工事でひしひしとかみしめざるを得ない言葉となって甦っている。自分のスケールの小ささと中国の「大きさ」に直面する日々だ。

中国の内装工事の世界では、1センチ以下は違いとしてほとんど認識されない。

トイレの洗面台を注文したが、1回目は作りが荒く設計士がダメを出して、2回目を持ってきて、はめて帰って行った。それなりによくできているが、壁ピッタリのはずが、両側に1センチほど隙間がある。

こんなところにピアスなんか落ちたら2度と拾えないのでこれは困ると思って設計士にそういうと、彼女はいつもの早口で「ピッタリはあり得ない。中にいれられなくなっちゃうから」という。なるほど。これが中国スタンダードらしい。

確かに隙間を横からよく見てみると、三角の隙間である。元々壁がまっすぐでないのだ。
こりゃ無理だ。

そういえば、今回頼んだもので一番高価だったクローゼットだが、こちらも、設置に来た兄ちゃんが困っている。床が曲がっているという。

結局板のようなものを低い方に入れてごまかしていたが、こんな思いモノを細い板一本で今後ささえていけるのだろうか?心配になる。

そしてオーダーメードだから天井まで着くはずが、こちらも2センチくらい間が空いている。
しかも、この隙間も三角だ。右は2センチ左は1.5センチだ。

天井自体が曲がっているのか、床が曲がっている上に作ったクローゼットが結果として歪んでいるのか、その両方なのか、とにかく大きな隙間がある。

それを指摘しても、「ピッタリにはいかないものだ」、とお兄さんは涼しい顔。
設計士はそりゃそうだけど、これは隙間が大きすぎると、押し返した。
何かを詰めるといっているが、どうなることか。

かなり高いオーダー家具でもこれだからなあ。引き出しの板も薄くて、ボコボコと情けない音がする。

外見は結構立派なのだが、細かい差は完全に無視。これが中国スタンダード。
まあ、日本みたいに数ミリをきっちりできる国もそう多くはないかもしれないけど。

この値段とこの速さだから仕方ないと、言い聞かせている。
これ、本日の中国なり。