何も変わっていないのか?

先日、大学教授の知人が読売新聞にインタビューされて中国の農村の荒廃や腐敗について「結局何も変わっていない」と言っていた。

確かに中国の闇の深さは半端ではなく、あれやこれやといろんな政策が出されても、下は断固として現状維持し、政策は骨抜きとなり、現実を変えるのは至難の業となる。

また、闇の深さ、深刻さも日本とは比較にならない。人間を虫けらのように扱う、という側面は今もってまだあちこちで見られる。権力の前で人は何も保障されない怖さがある。

だから、何も変わっていないのか?というと、これはまたちょっと曲解のように思う。

中国の深刻な汚職や野蛮な権力の在り方を批判するのは当然だ。権力を籠にいれよ、と習近平も言っている通りだ。全然まだダメなところは山ほどある。

さっき、甘粛省の村からきているWさんに聞いてみた。村に帰った時にどういう変化にきづく?と。

彼女の答えはこうだ
1)毎回すごく変化している。一番目立つ変化は女性がすごくおしゃれをしていること。ミニスカートにスパッツ、ブーツ、髪の毛は金髪などもいるし、パーマは勿論、ストレートにしたり、みんなすごくきれいにしているので、私なんかが帰ると、3年たっても5年たっても変わらないわね、と地元に残った友達からからかわれるほどだ。(因みに彼女のかっこうは派手ではないが、決して時代遅れではない)


2)農業はやっても全然儲からないので政府はやる人に奨励金をだしている。知人は家を建てる手伝いをして1日100元位稼いでいるし、旦那が外に出稼ぎに行き、奥さんが家に残って家族の面倒を見ている人もいる。女性はスカートをはいて一列に並んでみんなクロススティッチをしている。私なんてそんなおしゃれなことをする時間は全然ないのに、彼女たちは自由自適だ。

3)子供の学校を重視するようになった。昔は子供は学校に行こうが行かぬが関係なかったが、今は条件が揃えば、郷鎮や県の学校に子供を行かして、子供は大学に、外にいかせたいと考える親がすごく増えているという。

4)10年前自分が子供を産んだ頃は一人っ子政策のチェックが厳しく、年収に値する罰金を2000元!要求されて、出せないと郷鎮から一群の人を連れてきて、家を壊されたりしたものだった。最近はみんな外に出稼ぎに行くようになり、外の世界を知るようになった。だから政府の人も農民に対してそんなことはできなくなって、今こういうことはなくなった。この10年で変わったと。

やはり、いろんなことは変わっている。十分に権力がコントロールされた、と完治には程遠いが、結局何も変わっていない、というのではニュアンスが伝わらないように思う。

許せないという非道な情況があり、それに対する怒りがあるのはわかる。まだまだ、というのも分かる。でも細かな変化もきちんと摘んでいかないと、全体像が見えなくなるのではないだろうか?

考えさせられる、これ、本日の北京なり。