雷洋事件、文革50周年、エイズ孤児などなど

先週後半にかけてまだ、西安の魏規西君事件に続いて、人民大学院を卒業した雷洋(29)さんが、公安の取り締まり拘束中に謎の死を遂げた問題で持ち切りになった。ちょうど忙しくて書けなかったが。

親戚を北京首都空港に迎えに行くと言って5月7日の夜8時半ごろ家を出た雷洋さんは、マッサージ屋に寄り道していて、そこで買春容疑で私服公安に拘束され(9時半ごろ)、その途中で「助けてくれー」と叫び、車に乗せられて派出所に行くが、死亡していたという。公安は彼が激しく抵抗し、車からも飛び降りて逃げようとしたなどと言っている。

それを目撃したという人は「たまたま」新華社の記者だったり、彼の電話記録が無かったり、親族に知らされた時間までの空白の時間が3時間近くあったり、親族の遺体確認もちょっとしかさせてもらえなかったり、とにかくいろんな不思議がある。捜査に来ていた公安の車は彼がそのマッサージ店に入る前に到着していたのに、彼が店から出てきたところで取り押さえたり、お取り捜査だったのか、とも言われているし。

大体、本人がそこに行ったという経緯も不自然だ。そこからはめられたのではと疑う声もある。とにかく、国民は皆、警察が嘘をついていると思っている。
新華社までも、公安はうそをつくな、と言う社説を載せていて、全く新しい展開になっている。13日に当事者の公安抜きで、県の検察と親族立ち合いで遺体検証があったが、結果が出るのは2、3週間後という。(遅すぎないか!!)

しかし、あの事件が一世風靡したのが水曜、木曜だが、今ではそのニュースはほとんどなくなっている。皆の関心は移ろなものだ。

昨日は文革発動から50周年。これまた、たくさんの文革に関する記事がでたが、ほとんど削除。

人民日報は文革の間違えを許すな、再来を許すな、と言う社説を載せている。おっしゃる通りだ。

昨日の笑い話は最近各地の政府が党紀を書き写すことを奨励していのだが、ある新婚カップルは結婚式のその晩2人で党紀を写したというニュースだ。まさに文革を彷彿とさせる一場面だ。

新京報の11歳の湖南省寧郷県のエイズ孤児の話も胸が痛む。両親をエイズで亡くし(母親は不明だがおそらくそう)それだけでも生活は大変なのに、自分もエイズにかかり、学校から感染を恐れる他の父兄の圧力で追い出されてしまったという。孤独に貧困におじいさんと兄弟と暮らす女の子の話だ。

中国には2015年10月末までにエイズ感染者と発症者は57.5万人おり、死亡したのは17.7万人。母子感染でエイズにかかった14歳以下の子供は約8000人いるという。その多くがこの子同様、学校から追放されてしまって困っている。

元々貧困で食べていくのも大変な村で、親たちは隣の家にエイズの子供が出たといえば、うつされないようにと、遠のくのは自然の原理でもある。これは社会問題だ、と言うが本当にそうだろう。

そういう人の立場になって行動できるようになるには、やはり、自分の衣食が足り、安定した生活基盤があってこそだろう。そう言う基本の基本さえない、貧困農家のこの人達の姿。
これも、また本日の中国の一コマだ。