電話詐欺師、世にはばかる

最近中国のメディアでは、8月末の大学新入学の新入生の学費を狙った奨学金詐欺の話が多い。気の毒なのは初心で、経済的にも困っているからこそはまってしまった田舎のピカピカの新入大学生達だ。彼らは自分が詐欺にあったと分かってから、絶望のあまり自殺してしまったのだ。

詐欺に遭ったのは本当に気の毒だが、でも、何で自分で命まで絶ってしまったのか、これが悲劇で、また、不可解なところだ。その位、両親が子供のために工面したお金で、経済的なプレッシャーがあったということなのだろうが。

今回の犠牲者は徐玉玉さんだ。過酷な大学入試を無事終えて、南京郵電大学にめでたく進学が決まっていた。先月8月19日に県の教育局だと名乗る男が「貴方は2600元の奨学金がある。今日が受け取り最後の日。財政局の担当者と連絡を取れ」と電話してきた。

次に話した財政局の担当者は彼女に「銀行に行って振り込まれているか確認してくれ」という。「そうか、まだかあ。それじゃ、この口座にはいくらお金が入っているか確認してくれ。」という。奨学金用口座を開設するために、このお金をいったん他に移すといって、全て犯人の口座に移させる、という手口だ。

玉玉さんは、ATM前で電話口でいわれる通りに操作して、学費の9900元すべてを犯人口座に移してしまった。それで、奨学金が無事振り込まれると思って待っていたが、さっきまで電話口にいた『担当者』の電話は繋がらない。振り込まれるはずのお金もこない。これで詐欺だと分かった。


そして、その日の夜9時に玉玉さんは自殺した。

教育局や財政局の職員になりすました犯人は3人組(福建省人、この電話は江西九江からかけていた)。今回逮捕された。山東省の大学入試・入学者のリストを闇で1万4000元で仕入れて、それを元に詐欺をしていたという。

で、昨日のCCTVの番組では、「だから、銀行口座や電話登録の実名制が必要なんだ」という結論。この手の詐欺は正直、中国では新しいことではないのに、最近やたらと報道される。

勿論、前途有望な大学生が悲惨なカタチで犠牲になったのだから、当然注目すべきだけど、何か別の意図も感じる。

中国の国家権力が本気になれば、こんな犯罪位防げるのではないだろうか?電話詐欺は、最近の流行語。「こちらは公安です、と言われたら詐欺だと思いましょう」というのが、最近の市民へのメディアがまとめたアドバイス。

早速、セールスや詐欺などの不要な電話を自動的に弾くアプリを宣伝するプロバイダーも出ている。

これ、本日の北京なり