元気過ぎる子供たちに授業をして

昨日は、保護者授業の日だった。これは親が勝手に企画してボランティアベースで実施している気まぐれ授業だ。私は今回が2回目。給食の後の休み時間の40分を利用する。昨日は、担任は外部の研修とかで留守。警備員のおじいさんが子供たちと一緒にディズニーのアニメを見ていた。

まず、パワーポイントが入ったUSBを持って「これ、誰が手伝ってくれる?」というと男の子たちが3,4人駆け寄ってきて、「僕にやらせてください」「今日は僕がコンピューターの操作をしてもいいですか?」とやってくる。ああ、お願い。とお願いしたが、頁を先に動かしちゃったけど戻せなかったり、どうやら彼らはそれほど得意ではなさそう。

授業の後半になって、なぜか自動再生になっているのが発覚。すると、すすっとやってきた美人な女の子が設定を直して席に戻る。なかなかできる。教室には勿論コンピューターとPPTを映し出すスクリーンも完備している。30人がギリギリで座れる粗末な教室だが、ITだけはすごい。

また、別のちょっと賢いニコニコ君は「次の時間、僕は授業を聞かないで自分のことをしていてもいいですか?」と聞きに来る。「いや、私が来るのは1年か2年に一回だから聞いた方が良いと思うよ」と言ったものの…。

とにかく、いろんな子がいろんなことを私に直接言ってくる。一気に話すし、なんか脈絡が無いようなことを言う子も多いので、私も把握しきれず。

他の子は「今日のご褒美は何?」といって私のバッグをのぞき込む。先週のこの時間は、ペロペロキャンディーを配ったらしいからなあ。今は飽食、飽物品の時代。親たちはカッコイイところを見せようと、いろんなものをクラスで配る。レゴ風のおもちゃを全員に配ったりしたこともあったようだ。鉛筆などの文具なんかをもらうのは子供たちは慣れっこだ。

因みに私が用意したご褒美は千代紙で作った鶴と盔、切り絵など。子供たちは私が日本の手紙のサンプルとして見せた千代紙のカードも手にして「先生、これ頂戴」と言ってくる。手紙は私信だからだめよ、というと、じゃあ、中の手紙部分は置いていくから外側のきれいなカードを僕に頂戴という。よっぽどあげちゃおうかなと思ったが、他の女の子も目を光らせてそれが欲しいらしく、「ええ〜私も欲しい〜〜〜」などと言っているので、全員に一括「ダメ!」出し。うかうかしていると、もぎ取られた挙句、彼らが争奪戦を始めそうだ。

授業に入ると、『国際理解なんてつまらない』というさっきのニコニコ君。これは『失礼です。聞いてないのに分からないでしょ」と言っておいたが、別に緊張する様子もなく。知っていることを話したい、という子はとても多く、文字を見せたら、タイ語というのも分かったし、インド系文字というのを当てた子もいる。アラブ文字の下に書いてあったカタカナを見て、日本語といった子もいた。文字と言語を間違えていたけど、多くの子どもが競って答える。

日本語の四字熟語を紹介した。我田引水とはどういう意味だと思いますか?と聞いたら、それは良いこと!という答えが。そうか、普通はそう思うのかな、とハッとした。日本語では自分のことしか考えないという悪い意味で使うんですよと説明したけど。この差異がいかにも日中の差異でもある。

また、日本で作った漢字として躾を紹介。昔は親は子供に対する躾が厳しかった、という例を言って、躾って一体何だと思う?と聞いたら、彼らの答えは「要求」だった。なるほど。1人の優等生として知られる女の子が「品徳」とか答えてくれたけど。

とにかく、自分のことを聞いてもらいたい人、黒板のPPTが良く見えないのかどんどん席を立って前に出て来ちゃう子もいる。一応熱心に授業に参加しているんだけど、もう、前の方でうるさくなっちゃって大変。後ろや端の方の子どもはついてきていなかったのではないかな?

最後は流れ解散のような終わり方になっちゃったし。皆で誰が、いつ、どこで、何をを書いてつなげて作文にするゲームをやったけど、こちらも、今一歩。「僕と誰々君」とか書いてあって、僕ってだれじゃ?

そのゲームの時もこれを読み上げたいです、という子供が何人も来る。適当に早く言ってきた子に頼んだけど、その後にもやってきて、諦めない。皆、すごいわ。

一番の反省点はやっぱり、急いだので、今一歩彼らを巻き込めなかったことだ。もっとゆっくりからめとって進めていかないとだめだなあ。内容を減らしてシンプルにして、でも、しっかり彼らに入ってもらうということが必要だったかも。知ってもらいたいテーマを絞るということも大切だ。

我が子の評価はクラスがめちゃくちゃだったので、良くなかったということで85点。たしかに。あの混乱を抑えて進めればもっとよかったなあ。つくづく先生って大変だと思ったわ。以前の眉間に皺の癇癪先生の気持ちが昨日ばかりは少し分かった気がした。

正しい問題設定は「こんなことを言うと怒られそうだが、この国は抑圧的なのに何でこんなに皆元気なのか」、ではなくて、もしかすると、その反対なのかも?まあ鶏と卵でどっちが先かは分からないが。つまり、皆の推しが強い、勝手だ。「だからこそ」!!!先生も強権的になりがち!なのかもしれない、という思いが頭を過った。


これ、元気過ぎる北京の小3授業で考えたことなり。