中国人の考えるように考えるのは意外と難しい

最近、北京で20年の歴史のある日本人登山グループに入れてもらって、司馬台の先の長城登山にいってきた。長城はいずれも山の峰に作られているから、そこを目指して登るのはそれなりに大変だ。

去年の5月にも同じ山を登ったので良く知る風景だった。連れていってくれた人達(合計11人)はもう何度も来ているお馴染みの山だ。

以前にこんな山に登りに来るのはごく一部の登山好きの外国人か、地元の農民位だったが、最近、レジャーブームで中国の一般人も普通の格好で大丈夫、大丈夫と無理な山登りにチャレンジすることが多くなり、無茶をしてけがをするケースも多発しているという。

そんなこともあってか、最近は入山禁止になっている登り口もたまにあるという。山火事の時期には火事防止のために止められることもあるとか。

でも、止められるとすれば、人里のある村周辺でのこと。この日も村を通り抜けるまではハイピッチですり抜けた。30分近く歩いたか、もうここまで来れば大丈夫と思ったところに、犬を連れて、釜を持った真っ黒の農民のおっさんが座っている。

何でも、山火事の心配と安全面からこの先には行かせない、という。自分は見張り役の仕事をしてお金をもらっているが、あんた達を通したら、800元の罰金を取られるはめになる、という。

そう聞いて、私は「あ、この人はお金をよこせ」と言っているのだな、と思った。800と言っているなら、400か500元位払えばいいのかな?と心の中で過った。

結局、山を良く知るグループの古株がいろいろ議論して、引き返すことになった。まあ、私は登山は全く新参者で分からないから、素直に従って下山した。

どうしたら一番良かったのか、と他の人とも話した。今度から高い煙草を買ってくる。おじさんと一緒にお弁当を食べておしゃべりする、酒を持ってくる、などなど。

ところが、退散させらた我々を出迎えてくれた古くから知り合いの中国人ドライバーは「なんだ〜そんなの、相手に100元も渡せばお腹いっぱいになって倒れる位よ、せいぜい最高でも200元も渡せば済むことよ」という。

なるほど。これが中国的な常識か、と目から鱗だった。

彼は別に考えたとか調べたのではなく、肌感覚ですぐそう言った様子で、これが中国的な素直な反応なんだろうと思った。

日本で800元と言われているものをいきなり、400元なら払う、とか100元で、なんて言ったらヤクザだと思われてしまうが、中国ではそれが当たり前。先方も万が一、と思って多分800元もくれることは無いだろうけど、高く始めるに越したことは無い、と言う感覚なのだろう。

これ、先週末の北京郊外での出来事。

これだから、中国は深いのである、20年住んでもまだまだ自分の反射能力が現地レベルには追い付いていないことを知らされた瞬間だった。