中国のソフトパワー

ここ数年、中国もソフトパワーを気にし始めているようで、漢字、習字、儒教、中国ファッションなど海外に頑張って発信しようとしているのが分かる。

先日、スワトウ大学で教鞭をとるK氏が彼のクラス(日中文化比較)での学生の発表について教えてくれたが、非常に面白かった。彼の教える中国人生徒たちは自由課題の発表で、居酒屋、ポップスの歌詞、You TuberVS B駅UP主、日中敬語の違いなどなど、いろんな側面から日本の現象を取り上げ、中国と比較している。

それを見ていた中国人が、今、中国の特に若者は日本への関心がすごく高いのに、その反対はない、まるで片思いのようだ、と発言した。

それに対し、S氏は「そもそも、中国にソフトパワーが欠けている」と指摘。言われてみれば、確かにそうだとハッとした。ソニー製品でもいいし、抹茶でもいいし、アニメでも、コスメでも、匠の技でも、浮世絵でもなんでもいい。とにかく日本にはこういうソフトパワーがある。

中国にはおいしい料理はあるけど、そもそも中国の食の安全性が確保されていないので曇ってしまうし、漢詩など素晴らしいものもあるけど、ちょっと大衆には難解。中国ブランドで魅力や愛着を感じるものはシャオミやmobike位だろうか、あと一歩足りない。

それにしても、ソフトパワーは人が良いなあ、と思うもので、そういうフィーリングが動くにはやっぱり民主的で風通しが良いことが大前提になる。百度はすごいといっても、情報を全て政府に開示しているとなると、魅力は一気にダウンだ。それはアリババでも同じだろう。

この辺が中国が抱える最大のソフトパワーのネックなのかもしれない。中国の人だって自立して、一般人がちゃんと尊重されることを願っている。それなのに、安定第一の政府は自信のなさからか、最近はどんどん縛りをきつくしている。K氏はこれは一時的で、少し経てば又緩むというが、本当にそうなのだろうか。

そうあってほしいけれど。
これ、本日の中国に欠けるソフトパワーの根源なり。