「北京の大気汚染は一日たばこ一箱分」の嘘
日本や欧米では、北京もメキシコシティも汚染のひどいこれらの都市では「一日タバコ1箱喫煙しているのと同じ」という言い方がかなり前からあり、私もドキッとした覚えがある。
しかし、これは真っ赤なウソであるという。
昨日インタビューしたRICHARD SAINT CYR先生は2011年12月に早くも「北京の平均的な日に平均的な大人が吸い込むPM2.5の量はたばこにして6分の1本」と指摘している。
計算方法は、大気汚染の健康被害の権威であるPOPE III教授の研究に基づいて次のようになるという。
(アメリカ大使館の過去三年のPM2.5データから)毎日の平均的なPM2.5の量を算出すると24時間平均で立方メートル当たり100ミリグラム(AQI指標では171)となるという。
DR.POPEの研究では平均的な大人の一日に吸い込む空気量は18立方メートル。
だから、
一日に吸い込むPM2.5量 : 100 µg/m³ x 18m³/day (÷1,000 to convert µg to mg) = 1.8mg/day
となり、一日に1.8ミリグラム吸い込むという計算になる。
たばこ1本12ミリグラムだから(これも学術的に一般的な値)
汚染の濃度が上がると摂取量も増えるが、AQI500だったとしても1本以下となる。
AQI 171、100ミリグラムの日はたばこの15%、
AQI 200、150ミリグラム たばこ1本の23%
AQI 300、 250ミリグラム たばこ1本の38%
AQI 500、500ミリグラム たばこ1本の75%
そして、ここからDr.曰く、
●大気汚染による害は欧米で一般的に言われている数値より低い
●しかし、大気汚染による害を過小評価するものはない。(大気汚染による害は明らか。)
●大事なのは、タバコは一日1本だとしても、世界で最悪レベルの汚染都市での生活以上にカラダに悪い。
ということだ。
害には違いがないし、自分のできる保護はすべきだが、一方で寿命が縮まると言うほどのことではない、それよりよっぽどタバコの方が確実に寿命を縮めているよ、ということだ。
それにしてもそもそも何で「北京・メキシコシティの大気汚染生活は、1日に1箱喫煙しているのと同じ」という言い回しがかくも世界中に「常識」として知れ渡ったのだろうか?
「怖い物見たさ」からくる人間の根本的欲求かしらん?などと勘ぐってしまう。
良くないけど、それほど、目くじらを立てて悲観するほどでもない、という指摘。とても大切だ。
これ、本日の北京なり。