中国は「臭豆腐」

臭いがゆえに病みつきになるおいしいモノは世界各国にある。日本の納豆や欧州のブルーチーズはその代表だが、中国には「臭豆腐」がある。

文字通り臭くて、露店でこれを揚げていると遠くからでも分かる臭さを発する。ところがこれがビールに良く合っておいしいのだ。臭いと言って食べない人も多いが、好きになるとこれがたまらない、そんな庶民から愛されている食べ物だ。

昨日4年の勤務を終えて日本に帰る知人の送別会でアメリカと中国の違いを聞かれた彼曰く、食べ物に例えるならアメリカはアイスクリーム。甘くておいしいがすぐに飽きてしまう。中国は一方で、臭豆腐。初めは臭いが好きになるとこれがおいしい、飽きない。

手を叩いて深く頷いてしまった。綺麗好きで仕事机の上は常にピカピカの彼が中国をそんなに「味わっていた」とは露知らなかった。中国が厭で厭で早く帰りたいのでは?と決めつけていた。

もうひとつ、彼が帰国の前に残した言葉は中国は「軽松」で良い、ということ。この「チンソン」というのは日本語では全く同じ語感のものはない、まさにリラックスした、と言う意味だ。

日本のように周囲の目から監視されるプレッシャーがなく、皆が自然体だ。自然体過ぎて、サービスを受ける消費者としては怒りたくなることは多々というのも事実だ。(日本のように、人工的に素晴らしい笑顔などはしてくれない)。それに、生存競争が激しくため、基本的に荒々しいから来たばかりの人はそちらに圧倒されて不愉快に思うことも多い。

でも、だんだんそれに慣れてくると、自分も「チンソン」さを楽しめる。あれこれ周りの目を気にせずに行動できて楽、なのだ。

これは、全くその通りだ。日本は互いに監視し合い、縛る村文化だ。それゆえに皆が同じく礼儀正しく、親切という良い面は勿論ある。しかし、常に空気を読んで皆と同じにしないと村八分にされるため、窮屈でもある。髪ぼさぼさで出勤することはほぼ不可能だし、デスクトップのコンピューターをそのまま担いで地下鉄にも乗れない。(北京では、この行為に疑問を投げかけることさえ誰もしない)

臭いがうまい。これぞまさに言い得て妙な本日の北京なり。