疎解、疎流というMEANなニューワード

本日の新聞記事によると、北京天津河北協同発展促進・劉伯・北京弁公室副主任曰く、雄安新区とマッチする社会インフラを新区に移すことによって、北京の人口の「疎解」(障害物を除き、分散させる、つまり人口の転出、人々を北京から追い出すこと)を「引導」(導こう・誘導しよう)という方針が固まったらしい。

元々、雄安と北京の人口削減策とは関連づけられていなかったはずが、ここにきて、北京は人口が多い、多すぎる人は雄安へ移住せよというご方針に変わったらしい。

それにしても、市民はこれをどう受け止めているのだろうか。
昨日、北京の庶民市場のほとんど最後の砦となってきた万通に行った。行く道でタクシーの運転手に「万通、まだ開いているよねえ?」と聞いたら、「年末に閉めるらしい」と教えてくれた。また、私が「最近は動物園やら金五星やら私が好きな市場がみんなしまっちゃってつまらない」、と嘆くと彼曰く「皆、河北へ行けってことよ」と捨て台詞のように言う。だんだんSFのようだった政策がじわじわと本格化してくる。彼の語気はふざけんなよ、とも、しょうがないぜとも取れる言い方だった。

非首都機能は北京から駆逐ということだ。私が好きな庶民ショッピングは非首都機能の刻印を押された。だから、万通のような立派なビルの中できちんと商売している人達まで追い出されているのだ。これは、本当にひどい。無許可で地べたで商売したり、リヤカーの闇の人を追い出すだけじゃないのだ。ちゃんとした立派な雑居ビルで20年間商売をしている人達まであっという間に追い出しちゃうんだから。

昔から知り合いだった安物靴下屋さんに行ったら、似てるけど違う人がいて、妹という。ねいちゃんは田舎に帰り、スポーツクラブの商売を始めたという。ねいちゃんには13歳の娘さんと妹がいて、昔同じビルに住んでいたから知り合いになった。中国の人は商売の風向きが悪い、となれば、さっさと乗り換える。あんまり「ひどい」とか感じていない、とでもいうように。とにかく、そういう議論は表には出ない。「世の中とは所詮、こういうものさ」と皆飲み込み、文句を言う時間と余力があるなら次の手を打つのが賢明と言う感じだ。

東京で人口が増え過ぎたから非首都機能に従事する店を閉めるなんていったら、革命が起こるだろう。
米国から来た10歳の女の子曰く、meanだ。
確かに日本やアメリカの常識から考えれば、人口が多いからナイトマーケットをやらせない、取り締まりを強化した、というのはMEAN以外の何物でもない。

首都機能だけに無駄をそぎ落とす北京、
この都市の無駄な所こそ魅力だったのに、一体これからどうなることやら。
これ、本日の北京なり。